成長期の子供は、上下の顎の成長に伴い口元(横顔)が変化します。バランスのとれた顎の成長では、上顎の方が下顎よりも早い時期に成長を開始します。このため、幼少期の口元は突出した感じになり、自然に唇を閉じる事が苦手で、しっかり閉じさせると下顎に梅干状のシワができます。このシワは、上顎から遅れて起こる下顎の成長にともない改善され、口元の変化(ボリューム感)とともに、無理なく唇を閉じることができるようになっていきます。
よい歯列形態は上下とも卵型(オーボイド)をしていますが、不正咬合では、歯列の幅(左右の歯の距離)が狭く、直線的で、V字型をしています。歯列は左右方向へも、前後方向へも成長し歯列のアーチが大きくなります。V字型になるのは、もともとの形態もありますが、口周辺の機能が悪いと歯列の成長が阻害され、V字型の形態となります。このV字型の形態は、前記した「顎の成長」に大きく関係し、幅が狭い歯列では下顎が十分成長せず、口元の変化が起きにくい環境となっています。
乳歯は生後6〜7ヶ月で前歯が生え始め、1年6ヶ月〜2年くらいで上下8本づつが生え、2年〜2年6ヶ月ころに、第二乳臼歯がでてきて乳歯列の完成となります。乳歯列では前歯の歯と歯の間に隙間があるほうがよい歯並びとなります。これは、6歳ころに生えてくる永久前歯のほうが大きく、その大きさの代償として利用されるからです。
永久歯は6歳ころから生え始めます。最初に前歯と6歳臼歯と呼ばれる第一大臼歯から生え始め、徐々に交換し12〜13歳ころに第二大臼歯が生えて永久歯列の完成となります。永久歯の下の前歯は乳歯よりも少し内側から生えてくることが多くまた、4前歯の生えてくる隙間が少ないため通常デコボコに生えてきます。このデコボコは成長および口周囲の機能により並び直しが起こります。この並び直しには、4前歯の並ぶスペース、適切な顎の成長と口周囲の機能が備わっていることが必要です。上の左右中切歯(いちばん前の歯)は「ハの字」状にでてくるため隙間が開いていますが、側切歯(前から2番目の歯)、犬歯(前から3番目の歯)が出てくると隙間は徐々に閉じてきます(中切歯の間で歯茎と唇にまたがるヒダ:上唇小帯が左右の歯の間まで入り込んだ状態では最終的に隙間が残る状態となります)。
口には、噛む、飲む、話す、顔の表情を作るなど様々な機能が備わっています。この機能が悪いと不正咬合を誘発あるいは悪化させます。
習癖には、不正咬合を引き起こす癖があります。よく見かけるのは、指しゃぶりが原因の開咬です。乳児期には発達の過程で生じる癖がありますが、幼児期以降まで癖が続くと噛み合わせに影響します。